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R5年度長期交換留学事業 渡航レポート⑧『留学を終えて思うこと』

掲載日:2024.10.04

アメリカ・アラスカ州アンカレジ市との姉妹都市提携は、今年で55周年を迎えました。その中で、「次代を担う本市高校生が、姉妹都市である米国アラスカ州アンカレジ市との交流を通して、相互理解、友好関係を深めるとともに、海外留学を通じて国際的感覚を磨き、グローバル社会の中で主体的に生き抜く力を身に着けること」を目的に、令和5年度に始まったのがダイモンド高校との長期交換留学プログラムです。昨年8月に第1期生として単身アンカレジへ渡り、10か月の留学を終えた佐藤歩夢さんが、留学費用の捉え方と、多くの人種や民族が共生する現地の生活を経て今思うことを綴ってくれました。


 日本に帰ってきて留学の感想を聞かれます。一番最初に聞かれる質問は、

「1年間の留学で、どのくらいの費用がかかった?」。

 長期交換留学にかかった費用って負債なのでしょうか?trade-offの世界で、“留学にかかるお金は高いからやめよう”、このような決断をすることは簡単です。

 なぜなら、留学を費用としてみてみましょう。日本で生活する1年間の費用と、アメリカでの1年間の費用を比較すると、円安や物価高も相まって、アメリカでの生活費は日本での生活費より高額になります。

 しかし、留学を自己投資、保護者であれば子供への投資というある意味での“資産”と考えてみてはどうでしょうか?

 費用と資産、二つの面で考えてみましょう。

 例えば、あなたが仮に、海外の雰囲気やトレンドを学んでいきたいとしましょう。現在アメリカの下にある日本の高校生なら、誰でも思い浮かぶ動機かと思います。

 そのような理由から、長期交換留学に向けて大きな金額を支払うことに対して、その金額はあなたにとってどう見えてくるでしょうか?私の意見では、そのような好奇心での長期交換留学は、価値が低い金額になると思います。そしてそれは、私にとって費用に見えてきます。しかし、あなた(子供)の夢に、海外で活躍したい、自分の将来の夢に英語が必要で、高校生として英語を学んでいきたいという志があり、真剣に長期交換留学に向かって行けるような動機があるならば、前者で述べた金額は、同じ金額だとしても、はるかに価値のある金額に見えてくると思います。そしてそれらは、将来の夢や目標、長期的な目標に直結すると思うので、私には自己投資の資産に見えてきます。

 このようなケースも考えてみましょう。

 例えば、あなたが留学に行かずに、普通に高校の勉強をこなしている状態で1年間を過ごしたとします。その時にかかる金額を費用と見たときには、あなたにはその金額はどう見えてくるでしょうか?日本で得られた経験や実力、努力を計算、予測してみてください。

 日本での就職や、日本の〇〇大学に行きたいという目標がある人には、私は、長期交換留学は必要ないと思います。〇〇大学に向けて、英語をもっと伸ばしていきたいという人もいると思いますが、その目標に向かう過程として長期交換留学を見ると、そこに1年間を費やす時間があるならば1年間受験勉強に集中し、少ない費用で目標達成する方が効率的であると思います。

 機会費用で考えるのならば、日本の〇〇大学に晴れて合格した人には、英語を話すスピーキングやリスニング能力は、1年間留学した人には劣ると思います。そしてアメリカでの経験も、日本で1年間生活していた人にはわからないと思います。逆も然りで、アメリカに1年間長期交換留学をしていた人は、日本で1年間生活していた人より、学力は確実に劣ると思います。

 金額面の話はこのくらいにして、次はアメリカでしか得られない経験にアプローチしていきたいと思います。

 私が一番留学で得たものといえば“多様性”です。

 周りを見てみてください。学生であればクラスを見てください。容姿や思考が同じ日本人たちに囲まれて日々を過ごしていく中で疑問は生まれませんよね。なぜなら、アメリカなどの多様性を推進している国の中で生活しない限り、多様性を学ぶことはできないからです。

 しかし、アラスカ州アンカレジでは、たくさんの人種や、さまざまな考えを持った人々たちと日々を送ることができます。銃社会、たくさんの重犯罪。確かに言葉だけ聞くと、安心して生活できないのではと思いますが、そのような社会の中で、生活、成長していくことは、とても素晴らしいことだと思いませんか?私は、そのような状況下、たくさんの人種の人たちの中で成長していくことにとても価値を感じます。そこから見えるようになる新しい知見もあります。

 日本で考えてみると、同じような人たちに囲まれ、切磋琢磨していく先に見えてくるものは何でしょうか?確かにたくさんのいい経験もできます。でもたくさんの日本人の中で、目立とうとして、何か意見を言いたくて、自分に似た人や自分より劣っていると感じる人を見つけて、無理矢理でも誹謗中傷する社会をどう思いますか?なんて愚かなんでしょう。これは本当に多様性を推進している国のあるべき姿なのでしょうか?

 私の過ごした留学生活では、友達にも恵まれ、たくさんの友達を作ることができました。その友達は、友達同士を常に尊敬し合い、尊重し合う関係にありました。

 確かに社会的に見れば、アメリカは差別が絶えない国と言われていることもあります。私は多数の人種差別を見てきました。でも私には、差別をしている人たちは、なぜそんなに悲しい思考回路しかないのでしょうか、なぜそんな考えに至るのか疑問です。差別し、他人を傷つけ、それで何を生み出せるでしょうか?

 私は、とてもいい経験をさせてくれた友達たちに、直接ではなく社会を通じてだとしても、そのような言葉を使われているということにとても憤りを感じます。私に多様性を教えてくれた美しい友達にそんな言葉を使うことは、とても無礼であると思います。

 それと同時に、そのような差別的な人たちが日本には実際にいて、問題視され、社会問題にもなっています。小さいコミュニティの中でそれが行われているなんて、とても悲しいことだと思います。

 今では、このようなたくさんの知見や視点を得ることができた、素晴らしいこの長期交換留学制度、そしてそれに関わり支援、援助してくれた人たちに本当に感謝します。

 ありがとうございました。

 

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